55 岐阻路ノ駅 河渡 長柄川鵜飼船
(きそじのえき ごうど ながらがわうかいぶね)

英泉画 版元保永堂

 河渡宿は長柄(良)川を越す渡し場の宿で、この宿に逗留する旅人は少なかったといわれている。英泉はここでは宿場の情景を描かず、長良川で古来より行なわれてきた伝統的漁法「鵜飼」(うかい)をそのテーマに選び実に巧みな技法を織り交ぜて完成させている。
 篝火(かがりび)に照らされはっきりと姿の見える部分とシルエットの対比、水の中と外にある鵜の姿を微妙な配色で表現しきっている点、そして洋風な感覚を醸(かも)し出している点など、英泉風景画の傑作のひとつに数えられているものである。