古だぬき 3/14  
     

 この道は一日に何十人もの旅人が西から東へ、東から西へ、時には百人を越すこともあったが、クロは人間になれて一度もほえることはなかった。おかんおばあは茶碗をぶっといて、「これクロ、何ちゅうことをするや。ほえるやない。」
 といくら叱っても、クロはあとじさりをしながらほえつづけた。「旅のおっさま、どうもすみません。急にこの犬がどうかしちまって。」と詫びながらクロを叱ったが、クロは死にもの狂いになってはほえかかる。坊さんは仕方のない顔をして立ち止まって、「どうしまして。