古だぬき 1/14  
     

 この話は、おらが子供の時におばあから聞いたもので、何でもおばあの小さい時にあった話やで、もう二百年も昔のことや。
  場所というのか舞台は、今の東海自然歩道になっとる中山道の道中で、ことの一番はじめは謡坂(うとうざか)や。
  小原から石畳の急な坂道を登って、やっと広い場所につくと、そこには茶店や宿屋のような建物が四〜五軒あった。何でもそこが有名な広重のかいた中山道の「御嶽(みたけ)宿」やという話やけど、くわしいことは知らん。その宿(やど)の道の南側は、大正時代の終わり頃まで、絵にかいてあるように溝があって、きれいな水がようけい流れておった。