三造念仏(さんぞうねんぶつ) 3/5 ページ  
     

 近くの人、といっても曲がりくねった山道を五百メートルほど離れた人が、用事があって三造さの家へ行ったそうや。三造さは家の前の地べたに座って、破れた団扇(うちわ)で蚊を追っとったげな。「蚊とりにいっくらよもぎの葉ばの煙を出いても逃げていかんもんで、わしが家から追い出されてしまっての。家の中は蚊だらけや。今夜は夜通し外におらならんわい。」と言って笑っとった。