男の尼さん 1/5 ページ  
     

 そのころの古屋敷(ふるやしき)は結構に人通りが多うてな。御嶽(おんたけ)参りとか菩光寺(ぜんこうじ)参りの人達がここを通って久々利へ出、五斗蒔(ごとまき)を通って下街道へ出る近道にしとったわけや。
 秋のある日、タ方になったもんで、そこの家の嫁ごが、ひと足先に田んぼから帰って小川で手や足を洗っとったら、「まことにすみませんが、ひと晩とめてもらえんやろうか。」