宗健行者(そうけんぎょうじゃ)さま 1/14 ページ  
     

 その年は文明十二年(一四八○年)ということで、今から五百年ぐらい遠い昔のことや。
  ちょうど戦国時代の真っ最中で、日本中は血なまぐさい風が吹きまくって、来る年も来る年も、真っ暗い年ばっかやった。武士達は手柄をたててえらい人になろうと、いくさばっかに明けくれて、百姓のことなんかちょっとも考えてくれん。どうやったら年貢米を上手に取り上げられるかと考えることが多うてな。戦場になりゃ田んぼも畑も荒らされるし、家は焼かされるし、丈夫な男の人は人夫に引っ張りだされるという時代で、百姓にとっちゃ地獄(じごく)のような苦労ばっかしやったもんや。