上町(かんまち)の井戸 3/19 ページ  
     

 今の井戸から西の方は、道路に沿って大体人家が並んで、御嵩宿(じゅく)らしさを備えていたが、東の方の上(かん)町の部分には、わずか四軒の家があるだけで家並の裏や横は竹やぶや田や畑がずっと御嵩富士の方へ続いていた。
  中央線が開通し、国道十九号の利用が増えると、急にこの道を利用する人が少なくなり、昼間でも薄暗いほどで、人通りの絶えた夜になると、わずか五十メートルぐらい離れている家へ、もらい風呂に女や子供たちは行けないぐらいさみしかった。