椀(わん)が渕(ふち) 3/4 ページ  
     

目をあけてみると、なんと、うずを巻いとる水の上に、美しいお椀が十個ぐるぐる回りながらこっちへくるやないか。おばあはなんべんも目をこすって見たが本当のこっちゃ。びっくりこいたがちゃっと拾って家へ持って帰り、お祭りを無事にすませた。きれいに洗って、お礼に酒をちょっとお椀に入れて渕までもって行き、お礼をたんといって返したそうや。
  このことをいつの間にか近所の人が知って、次から次へと大勢お椀をかりるようになったもんで、ここは「椀が渕」ちゅう名前で呼ばれるようになったそうや。
 しばらくして、別のおばあがお椀をかりてから、返さすと思って洗っとる中に、どういう拍子や知らんが落ちて割れちまった。