菊さの力石 2/8 ページ  
     

 比衣の大池の土手の修理をしたときやで、随分昔のことや。機械はなにもないもんで、なにをするのもみんな人間の力ばっかや。土を掘ったり、土や石を運んだり、土手をたたいてかためることやなにかで、アリンコのように大勢の人が仕事場に集っとったやな。運ぶ道具は、藤のつるで作ったもっこを二人が太い棒をさいてかついだもんや。この小さい石は二人で運べたけども、大きい方は四人がかりで土手まで運んだげな。そうするとだれがいうということでもないが、
「どうや。この石を埋めちまうのは惜しいで、カ持ちに持たせてみたらどうや」
ということになったらしい。