菊さの力石 1/8 ページ  
     

 わしらの小さいころは、買い物というとあらかた兼山(かねやま)ばっかやったな。比衣(ひえ)から山田を通って、坂をくだるともう兼山や。おじいさんについていくと、暑いときはたいてい比衣の大池の土手のそばにあった石に腰をかけて休んだもんや。その石は大きいものと小さいものとあって二人がかけるのに、ちょうどええ加減やった。あるとき、おじいさんが
「この石はな、菊さの力石ちってなあ有名な石で、おじいさんが子供のときに見とったときの話や」
といって話をしてくれた。