六月十六日のこと 2/5 ページ  
     

 どういうことや知らんが、その年に、えらい悪い病気がはやってな。次から次へと病気がうつり、うつった人はどえろう腹がくだって高い熱を出いて、一週間ぐらいで死んでしまう。看病しとる人もうつって死ぬ。今に津橋中の人がみんな死に絶えてしまうといわれるようになった。
  この病は春先からはやり出いたもんで、外(そと)仕事が忙しゅうなっても、だれも仕事になんか手がつかん。昔からようきくといわれる薬を飲んだり、いくらおまじないをしても、ちょっともようならん。神さまや仏さまにも一生懸命に頼んだけれど、さっぱりあかなんだ。