六月十六日のこと 1/5 ページ  
     

 この話は、ずっとずっと遠い昔から代々言い伝えられてきたことで、わしもおじいさんから聞いたこっちゃ。何でも、文明(ぶんめい)とか応仁(おうにん)とかという年号のときやで、今から五百年余も昔からあったちゅうことや。
  そのころ百姓は牛や馬のように働き、虫けらのように生まれて死ぬようなみじめなときやったが、百姓とて人間やもんで、人間らしい楽しみや面白さももったり、丈夫で安気に暮らしたい、とだれでも思っとったやな。
  そのころの津橋村は家が三十軒くらいで二百人ほど住んどったげな。