こんだ馬(うま) 1/9 ページ  
     

 今でこそ綱木(つなぎ)や津橋(つばし)、前沢(まえざわ)それに北部の小和沢(こわさわ)や大久後(おおくご)のどこへでも白動車が通るようになって、とても便利になったもんや。夜中でも雨降りでも雪が降っても。
  わしらの若いころというと今から七十年も八十年も昔のころは、わしの生きとるうちに、これほど世の中が変わって便利になるなんちゅうことは夢にも思っとらなんだ。 
  道をひとつ例にとっても、昔の道はどうやら人間や馬が通れるだけの、ぐにゃぐにゃに曲がった細い道で、雨が降ると道が川になる。冬、雪どけや霜どけになると赤土道は、ひどうこねって、とても歩けるようなもんやなかった。