火の玉 2/9 ページ  
     

相談は思ったより早うすんだもんで帰ろうとしたら、おしょうさんが、
「外へ行くと寒いで、お茶のかわりに、ちょっとだけで」
といって、酒をだいてくだれたもんで、他の総代と一緒に、少しよばれて帰ることにした。夜中の九時が少し回っておったぐらいやと思うけど。春先で陽気がようなって、桑の芽が大分(だいぶ)のびて、この分なら、もう一週間もすると、おかいこさまのはき立てをせならんし、だんだん忙しゅうなるぞ、と思いながら、「こんばんは」と墨で大きい字がいっぱいに書いてあるちょうちんに火をつけて歩きだした。