火の玉 1/10 ページ  
     

 タべ、わしはなぁ、火の玉ちゅうものを見たが、坊んたあは、そんなものは見たことはないやらあなあ。

 じいさまはタ飯がすんで、まず、いっぷくという事で、きせるにたばこをつめ、横座から腕をのばいていろりの火をつけて、うまそうに吸いこみ、鼻から白い煙をスーとだすのを見ながら、今晩はどんな話が聞けるか知らんと待っとった。

 わしは愚渓寺の総代やもんで、とぎどきお寺へ行かならん。ゆうべも急な相談ごとがあるできてくれ、ちゅうことでてかけて行ったわけや。