天狗(てんぐ)の腰かけ松 1/5 ページ  
     

 「このごろ、また天狗が出てきておうちゃくをするようになったげな。」
「そうやて。ほんとうに困っちまうのう。」
「いっくら困ってもだれも追っばらってくれえせんもんでなあ。」
「そんでも相手が天狗やで。おばけや、狐にばかされるよりか愛きょうがあってええやないか。」
と、村のおばあさん連中が、孫の守りをして日なたぼっこをしとると、いまいま、目の前を通って行った旅の人が青い顔をして走ってくるやないか。その人は、おばあさんたちを見つけると安気になって草の上にひっころがって話しかけた。