お柳(やなぎ)様 3/10 ページ  
     

この辺では今までにあったこともない大きい台風で、家がこわれたり、お寺やお宮の大木が方々(ほうぼう)で倒れたが、そのときにお柳様はどうものうて、三年あとで倒れたのは、風の吹いてくるむきが違ったのかも知れん。
  何しろこんな大きい木やもんで、横倒しになった下敷きの溝や田んぼに手がつけられん。切って片づけりゃええやないかと思うか知れんが、だれも切る人がない。なんぜかというと、この木の枝を折ったり、幹を傷つけると、どえらいたたりがあると昔からいいつたえられてきておってな。たたりというと熱が出たり、ときには、わけのわからん病気になって死んでしまうことがあったのや。困る、困るといっとってもだれもが手をつけんで放ってあった。