茂兵(もへ)さとタヌキ 3/10 ページ  
     
 それからひと月位たったころやな。三番草(ぐさ)が大分終わったころや。くたぶれてもう寝ようと、タバコをしまいかけたら、
「茂兵さ。起きておいでるか。定使いやが。」
「また道なおしかな。」
「そうや。急なことで申しわけないが今夜中に村中を回っておくれちゅう庄屋様の話やで。今度は、えろう道が荒れとるで、早ようきてほしいと。」
  わしは、いまいましいと思ったが、どうにもならんもんで、次の朝は、いっせき早よう起きて、道なおしに行ったが、誰もきておらん。