天池(あまいけ) 1/5 ページ  
     

 「これで村の衆はみんなお集りかな。それでは、これから雨乞いの式を始めまするによって、みなの衆もわしと一緒(しょ)になっておがみなされや。」
といって、白い衣(ころも)を着た行者(ぎょうじゃ)さまが水神さまの前に頭を下げると、天池のまわりにすわっとった村の人も同じように頭を下げ、骨ばった大きい手を合わせた。この池のまわりには、ひとかかえもあるような大きい松の木が五〜六本も立っておって、じかにはお天道さまの暑い光は照りつけなかったがもう幾日も幾日も雨が降らんもんで、焼けつくような風が吹くし、せみもよう鳴(な)かんぐらいやった。